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MR.BIG特集第一弾ポール・ギルバート来日スペシャル・インタビュー!

MR.BIG ポール・ギルバート  来日スペシャル・インタヴュー

6月末に新作ソロアルバムを引っさげ来日したポール・ギルバートのスペシャル・インタビューを、タワーレコード渋谷店で開催されたインストア・ライヴの写真を織り交ぜながらお届けします!
先日発売されたソロ・アルバムに関してはもちろん、今年再び動き出したMR.BIGについてもかなり迫って聞いてみました!

Interviewer :Junichi Yamada
Photographer : Ikkoh Ohara
ポール・ギルバート ストアイベントフォト。

新作『幸福なるシジフォス~ストーン・プッシング・アップヒル・マン』について

-----昨日のインストア・イヴェント(2014年6月28日:タワーレコード渋谷店)は、オケの電源が落ちるアクシデントがありながらも楽しかったですよ。

正直言ってあの瞬間、これでブルースができるいいチャンスが巡ってきたって思って、やっちゃったよ(笑)。

-----あなたは作品を発表するごとに新たな試みに取り組んでいますが、今回の『幸福なるシジフォス~ストーン・プッシング・アップヒル・マン』はまたありそうでなかった新しい方向性の作品になりましたね。これをやろうと思ったきっかけは?

ヴォーカル・メロディをギターで再現するってことは、これまでも何度か試みてきたことではあったんだけど、アプローチ的にまったく新しい技術が必要だったんだ。今回は集中してその技術を追求してみたかった。そのためには自分で新しい曲を書いて、それをギターで表現することもできたんだけれど、あえて今回は自分が熟知しているカヴァー曲を使うことによって、より技術の方に集中しようと思った。とにかく、いまの自分が一番やりたかったのが、ヴォーカル・メロディをギターで表現することだったんだよ。

-----前作の『ヴィブラート』がある意味集大成的な作品で、今回のアルバムをつくるにあたって新しい世界に突入したのかな? とも思うんですが。

アーティストっていうのは常に変化していきたいと思うんだろうけど、ぼくにとって変化っていうのは一瞬にして訪れるものではないんだ。時間と努力を積み重ねたうえでないとそうはいかない。今回のアルバムは新しいサウンドの追求という意味では、ものすごくハードワークなものだった。メロディをプレイするうえで新しいことをいっぱいやっているので、確かに新たな出発点になったのかもしれないね。ただ、アートっていうのは終わりのないものだから、まだまだ旅の途中なんだと思う。いま新しい扉を開けて一歩踏み出したところかもしれないけれど、これからももっともっと踏み出していきたい。

-----今回9曲のカヴァー曲が収録されていますが、選曲はすんなりいったんですか?

まるで懐石料理のようなアルバムだよね(笑)。でも、ぼくはそういうのが好みで。ハイ・エナジーなものからバラードまで。またロック、ポップ、ソウルといったいろんなジャンルのものが入っているけれど、全体のバランスはとても意識したよ。ほかにやりたい曲もあったけれど、そこを考えたうえで決めたのがこの9曲なんだ。

-----アルバムには入らなかったけれど、レコーディングした曲なんてあったんですか?

まずは今回、”どういう歌手のメロディを弾きたいかな?” って考えた。だからシンガー主体でセレクションしたんだ。ヴァン・ヘイレンもちょっとやってみたいなって思ったんだけど、ヴォーカルはデイヴ・リー・ロスだよね(ロスのマネをして、それをギターで弾く)。彼はとてもブルージーなシンガーで、やろうと思ったらものすごく大変だった。だから今回は入ってない。あとロニー・ジェイムス・ディオのレインボーとか、マライア・キャリーにも挑戦してみた。マライアの高音もギターだったら出せるんじゃないかなって思ってね(笑)。どうしても自分で歌うときはギターの弦の下の2本くらいのレンジになっちゃうけど、ギター主体で考えれば6弦すべての音域が使えるわけだからね。そういう意味ではこのスタイルには限りない可能性があるんじゃないかと思うんだ。

-----ここにはロック、ポップス、ソウルの名曲が並んでいますが、これまでの作品で披露されたようなクラシックをカヴァーするつもりはなかったんですか?

オペラをやるんだったらいいかもしれないけどね。これまでぼくがやってきたクラシックのカヴァーっていうのはキーボードをギターで弾くってことをやってきたんだ。要するにハープシコードのパートだね。そうすると緩急という点では割と平坦なものになってしまうんだ。今回ヴォーカリストのメロディを弾いてあらためて感じたのは、なんて感情表現が豊かなんだろうってことだった。もちろんわかっていたつもりだったんだけど、取り組んだことによってそれを痛感してね。もっともっと突き詰めたいって思ったんだ。

-----ヴォーカル・ラインはもちろんですが、ギター以外の楽器で演奏されていたものもギターで表現していますよね。アレンジやレコーディングはさぞや大変だったのでは?

ソロはある意味簡単にできるんだけれど、その背後で行なわれているものの分析とレコーディングは本当に大変だった。エルトン・ジョンやエリック・カルメンの曲はコード進行が思っていた以上に複雑だったしね。でも、そういうのを分析する時間がとても楽しくて。大変なんだけど、どんどんやりたくなっちゃって。k.d.ラングの曲もヴォーカルを重ねているのか、ストリングスを使っているのかよくわからなかったんだけれど、それも全部ギターで再現してみた。ま、時間を短縮するつもりならキーボードを使ってもよかったんだろうけど、今回はとにかく全部ギターでやりたかったんだ。そうして拘って結果的によかったと思ってるよ。レコーディングはひとりでコツコツやってね。ふたりのドラマーには最後に音入れしてもらった。これをライヴ・レコーディングするのはさすがに無理だったね。今回は一音、一音時間をかけて組み立てていくしかなかったわけだけど、このアルバムのレコーディングを終えて新しい自分になったような気もするんだ。だから大変だったけど、とてもいい経験になったと思ってるよ。

-----インストゥルメンタルの作品なのに“歌心”を感じます。

うん。ぼくが子どものころから聴いてきたビートルズやザ・フー、エルトン・ジョン、カーペンターズといったアーティストはヴォーカル主体のものだったからね。それが心のなかに宿ってるんだよ。ぼくがメロディを思いつくときって、実はほとんどヴォーカル・メロディなんだ。(ギターで速弾きをプレイしてみせて)こういうのは指使いであってさ、自分の頭のなかに響いているのはヴォーカルなんだよね(「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」を奏でながら)。いままでは指と頭がギターのフレットの真んなかあたりで出会ってたと思うんだけど、いまはもう少し頭よりにもってきたい時期なんじゃないかな。

ポール・ギルバート ストアイベントフォト。

-----2曲のオリジナル曲もまったく違和感なく収まっていますね。「ショック・アブソーバー」にはもともと歌詞があったとか? そういう意味ではアルバムのテーマにもぴったりですよね?

アリガトウ。「ショック・アブソーバー」は(歌って演奏しながら)結局、歌詞がない形にしたけど、どこかにあたかも歌詞が存在しているかのようなイメージなんだ。歌詞を歌っているようなギターがあって、それに対してもう1本のギターが会話をしているような感じになった。このひとつの曲のなかにはそうしたふたつのアプローチが存在しているんだ。いまの自分の考え方がよく表現されている曲なんじゃないかな。そういうことで言えばMRIで自分の頭のなかをスキャンしてもらいたいよ。こうしてギターを弾いているときの自分(ギターを弾く)と歌ってるとき(ハミングする)の自分を調べたら、きっと面白い結果が出るんじゃない(笑)? ぜひ実験台になってやってみたいな(笑)。

-----唯一の歌入りとなるタイトル・トラック(「ストーン・プッシング・アップヒル・マン」)にも新しいニュアンスが感じられますね?

そうだね。ブルージーに始まって、コードはジャジー。ゴスペルっぽい部分もある。ゴスペルについて詳しいわけではないけれど、もともとブルースもジャズもゴスペルも全部つながってるからね。だからこういう曲ができたんじゃないかな。レイ・チャールズみたいなね。かつてのハンブル・パイもこういう曲をやってたし。実はこのアルバムをつくってるときにニーナ・シモンを聴いてたりもしてたんで、そういうもののすべてが頭のなかでひとつになってこういう曲になって出てきたのかもしれない。だからさまざまな要素が反映された1曲なんじゃないかな。

-----あなたはギターの先生でもありますが、今回のスタイルを生徒に教えるのは難しんじゃないですか?

ぼくはいい先生だから決して難しいことではないよ(笑)! 実際にはこういうスタイルを教材に使うのは珍しいことじゃないんだ。いわゆるカヴァーするという部分ではね。確かにすごく正確な音で弾いたり、スケールを覚えてたり、リズム感もよくてテクニック的に上手なひとはいっぱい集まってくるんだけど、ぼくが本当に教えたいのはそれ以外の部分なんだ。それは感情移入の仕方だったり、表現方法だったりするんだけど、それを学ぶうえでヴォーカル曲っていうのはすごくいい教材なんだよ。ぼくは指よりも耳が大事なんだってことを伝えたいんだ。もちろん指を動かすのも大事だけど、とにかくいい音楽をいっぱい聴いて、それを自分のものにして欲しいんだ。だからこそカヴァー曲をテーマにして教えることは結構日常的にやってるんだよ。

-----アルバム・タイトルはギリシャ神話のエピソードの哲学的解釈だと伺いましたが、ご自分のなかに哲学的部分はありますか? まさにギターの求道者といったイメージもありますが。

音楽のなかの哲学的と言えば音楽理論ということになるんだろうけど、いきなり音楽理論を学べと言われてもプレイの方の基礎を身につけてからじゃないと意味がないよね。それは語学でもそうだ。文法的にどうとか難しいテキストから入っても、基礎的な部分がなければマスターできないでしょ。それと同じで、ぼくもこれまでの音楽的な積み重ねがあって、いまだからこそこういう哲学的な意味に共感できるようになったんだ。数年前だったら響かなかっただろうね。今回はこの岩を押し上げるというテーマがぼくの心境ととてもマッチしたんだ。成長してからこそわかることとタイミングよく出会えたんだね。

-----あなたはソロ以外にもいろいろなプロジェクトでも活躍されていますが、それぞれでアプローチは変わってくるんですか?

そうだな。もちろん音楽的に違いがあればぼくも変わってくるだろうし、例えばMR.BIGの「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」と「アディクテッド・トゥ・ザ・ラッシュ」はまったく違うアプローチによってつくられているよね。そういうふうに考えると相手とか対象によって全然違うものになってくる。だからこそそれに対応していることがこうして自分を成長させてくれている理由なんじゃないかな? プレイヤーのなかにはどんなジャンルでやっても自分の世界を持ってて、それが固まってるひともいるよね。それは個性として素晴らしいとも思うんだけど、ぼくにはもうちょっと柔軟性があると思うんだ。曲がひとつの額縁のようなものだとしたら、それにフィットするものを書かないと意味がないと思ってる。そういう意味ではひとつひとつのプロジェクトが勉強だと思ってるよ。

ポール・ギルバート ストアイベントフォト。

そしてMR.BIGが始動する!

-----いまMR.BIGの話も出ましたが、ついにまた動き出すんですよね?

そうさ! たぶんいまごろエリック・マーティンがレコーディングで歌ってるんじゃない(笑)? いまは石が転がりだしているよ。まさに転がってる最中だね。

-----アルバム・タイトルが決まったそうですが?

うん。『...ザ・ストーリーズ・ウィ・クッド・テル』だよ!

-----アルバム制作の進行状況は?

曲のアイデアはいっぱいあって、もうすでに録りはじめてるんだけど、ギター・パートのレコーディングとしては半分くらいまでいった感じかな。あさってロサンゼルスに帰るんだけど、すぐにレコーディングが待ってるんだ。一方でビリー(・シーン)はまだザ・ワイナリー・ドッグスをやってるし、エリックも地元で長年ライヴを続けていて、そのスケジュールもあるんだよね。だからその辺はプロデューサーにコントロールしてもらいながらレコーディングを進めている状況なんだ。でもね、本当にMR.BIGらしいアルバムになってきてるんだよ。ぼくはMR.BIGが世のなかで一番好きなバンドだから音を聴いてるだけでも嬉しい感じだね!

-----そのプロデューサーってどなたなんですか?

パット・レイガンだよ。……いや待てよ。忙しすぎて厳密には彼の肩書をはっきりさせてないな(笑)。

-----バンドによるセルフ・プロデュースではないんですか? (以前ビリーさんはそんなニュアンスで話してましたけど)あなたがMR.BIGに在籍していた初期にはケヴィン・エルソンというプロデューサーがクレジットされていましたよね。

そう言えば当時はプロデューサーがいたね(笑)。正直言って今回はそこまでかっちりしてないんだ。まぁ誰であれ、仮にプロデューサーの名前がクレジットされるにしても、まずはバンドの意思が重要なんだ。ぼくらはプロデューサーの言いなりになるってことはあり得ないんだよね。もっとゆったりした感じでやってるんだ。でも、ぼくはパットのことをスーパー・プロデューサーって呼んでるからね。だってすごいんだもん。だからそれでいいんじゃない(笑)? MR.BIGの場合〈君はこれだ!〉ってスタンプを押すことはないんだよね。もっと自由な雰囲気のなかでやってるから。

-----結成25周年になりますよね。そして11月には来日公演も予定されています。

25周年なんてびっくりだよ! とても嬉しいね。メンバーそれぞれソロ・プロジェクトを抱えているけど、MR.BIGになるとまたスケール感が違うんだ。25年も経ってまた武道館のステージに立たせてもらえるのは本当に感謝すべきことだし、それはMR.BIGだからこそできることだと思ってる。アルバムはまだ制作中だけど、日本でのライヴをとても楽しみにしているよ。もう何だか待ちきれないよね!

-----またMR.BIGと武道館との関わりは特別ですものね。

もしMR.BIGイコール武道館と思ってくれてるなら、それ以上のものはないよね!

-----すでにアジアやヨーロッパでのスケジュールも出ていますが、今回は比較的コンパクトなツアーなのですか?

タノシミ! あ、ツアーについては延ばすのは全然構わないよ(笑)! まぁ、途中で休みを入れるんじゃないかな?

-----いま手にしているギターは新たにセットアップされていますが、もしかしてMR.BIGの新作のレコーディングに使ったのですか?

いや、これは出来立てほやほやだから使ってないよ。でも、あさって帰ったら使ってみるかもしれないね。あ、サステインはエリックに任せておけばいいんじゃない(笑)?

-----大ヒットした前作『ホワット・イフ…』(2011年)には「アンダートウ」というキラー・チューンがありましたが、今回の新作でもそんな楽曲がありますか?

全部がそうさ(笑)! 今回はエリックが特にがんばってるよね。それよりもぼくはメンバーにしてMR.BIGの大ファンだからさ、ほかの誰よりも早く曲を聴けちゃうのが嬉しくてたまらないんだ(笑)! でも、実際のところエリックは最高のソングライターだとあらためて感じているよ。そしてもちろんビリーのベースとパット(・トーピー)のドラム、それにぼくのギターがなければMR.BIGにはならないんだけれど、エリックの存在は本当に素晴らしいと思う。今回も彼がいい歌詞とすごいヴォーカル・メロディを持ってきてくれてからね。だからどの曲もいち押しだよ!

-----エリックさんは前回のツアーが終わってから、曲を書き溜めていたんですかね?

ぼくらはソロ・アーティストとしてアルバムをつくる際にはじっくり時間をかけるんだけど、MR.BIGとしてやるときはあっという間なんだよね。ファースト・アルバムなんて実に一週間くらいでまとまったんだよ。いま考えてもあれはすごかったなって思うけどね。それで今回、もしかしたら書き溜めてたものもあるかもしれないけど、とにかくいいペースで進んでるんだ。それがMR.BIGというバンドならではのマジックでもあると思うんだけど、きっといい結果を生む要因になるはずさ。

-----完成はいつごろ?

もうすぐだよ(笑)! リズム・セクションはほとんど作業を終えているし、いままさにエリックがヴォーカル録りをしているはずで、ぼくが帰るころには終わっているだろう。だからあとはぼく次第だね(笑)! そこで自分のペースを考えるとあと2週間あれば何とかなるんじゃないかと思ってる。ミキシングしながらギターは録れるから、そちらは進めてもらいながらソロを入れていく感じかな。

-----昨年(13年)、ビリーさんがMR.BIGの再始動にあたってバンドの原点に回帰したいという話もあったようですが、今回その辺は共通認識として持たれてたんですか?

え!? MR.BIGはいつだって原点回帰してるじゃないか(笑)! まぁ、この4人で書いて、演じればそんな突飛なことにはならないだろうし。そう言えばこの前、友だちが自分の好きなアーティストの新譜を聴いたときに古いともだちに会ったみたいに懐かしいって感じたって喜んでたんだ。そのアーティストはもちろん新しいこともたくさんやってたんだけど、昔の“いい部分”が残っていて、見た目だってそんなに変わってなかった。懐かしいっていうのは古いというだけじゃないんだよね。MR.BIGにもそういう部分があると思うんだ。だから今回の新作のタイトルにも“まだまだ語れることがあるんだよ”っていうニュアンスも含まれてるんじゃないかな。

-----これは仕方がないことでもあるのですが、長いキャリアを重ねてくればくるほどにステージングが変わってくるバンドがあるなかでMR.BIGは衰えのようなものを微塵も感じさせませんよね? むしろ近年のライヴの方がパワーアップしている感もあるのですが、今度のツアーはどうなるんでしょう?

それはぼくたちだけでできることじゃなくて、オーディエンスの力がとても大きいと思ってるよ。それにあの武道館のステージに立って、あれだけのひとに囲まれれば、それだけのエネルギーが出てくるのは当たり前って感じだよね。ぼくたちが聴きこんできたレッド・ツェッペリンなんかに倣ってるという部分もあるし、まぁ、そうした音楽からもらったパワーを反映させているだけだよ。

-----そのツェッペリンの武道館公演でさえも、あなた方ほど大きな音は出していませんでしたけどね(笑)。

ははは……(笑)。自分がテニス・プレイヤーみたいなスポーツ選手だったら、さすがにこの歳までできずにどこかの時点で引退を考えてたかもしれないけど、ありがたいことに音楽ではホロヴィッツが高齢になってもピアノを弾けてたくらいなので、ある意味永遠にできることだと思ってるよ。

-----MR.BIGがオリジナル・メンバーで2009年に再結成した時点で、ここまでの歩みは予想もできたのですが、ここから先はどうなっていくのでしょう? 

MR.BIGの何が素晴らしいかって言うと、自分たちがサバイバルしてきたとともに曲が生き残ってきたことにあると思うんだ。ぶっちゃけ言ってぼくのソロ・アルバムの『フライング・ドッグ』の何曲目と言っても覚えてるひとは少ないだろう。でもMR.BIGの『リーン・イントゥ・イット』のあの曲って言ったら、みんながわかるはずさ。その差は大きいと思うんだ。いまMR.BIGを続けられているのは純粋に音楽の力がぼくたちを推してくれてるからだと思うんだよね。だからもしファンが望んで、ぼくたちもまだまだ望むものが残っていれば先もあるだろう。ただぼくはギタリストなので、いまギターで何を表現したいかと考えたときに、じゃ次は誰と一緒にやりたいかと考える方だからね。この先どんな形になっていくのかはわからないというのが本当のところかな。

-----それぞれのソロも素晴らしいのですが、4人が揃うと個々を補う形でより大きな活動になりますよね?

そうだね。シンガーだけが突出したり、ギタリストだけが目立つバンドとは違って、MR.BIGはメンバーひとりひとりの色が濃いバンドなんだ。それが絶妙な形で溶け合って、またひとつの色をつくりだしてる。そこはある意味、特殊なバンドと言えるんじゃないかな。ぼくがレーサーXからMR.BIGに加入する際、まだ発表されてはいなかったんだけれど、友だちに今度、ビリー・シーンとバンドを組むことになったって伝えたら、それはすごいことになりそうだなって言われた。で、その友達が〈ところでシンガーは?〉って訊くから〈エリック・マーティンだよ〉って教えたら〈誰それ?〉って。それでエリックが歌ってるのを聴かせたら〈こんなポップなシンガーとやって大丈夫なの?〉って心配されたんだけど。実は同じように思ってるひとは周りにいっぱいいたんだ。でも実はそれが最高のチョイスだったんだよ。あれがエリックじゃなかったら、こうした4人4様の魅力あるグループはできなかったと思う。MR.BIGという名前でありながら、もっと狭くて小さなバンドになってたはずさ。そういう意味でも結成時の人選は最高の判断だったと思ってる。

-----ポールさんは1回バンドを離れて、ほかのメンバーもMR.BIGから距離を置きたいという時期がありましたよね。でも再結成してからはそういう感情じゃないってことがわかって嬉しいですね。

ぼくだって嬉しいよ。とにかく最初の8年は息つく暇もないくらい忙しくてさ。はっきり言って、大人の男4人を8年間ずっと一緒にいさせたらクレイジーになるのは当たり前だよね(笑)。だから一度ああなってしまったのはしょうがないと思うよ。でもいまはスケジュール的にも配慮してもらってるし、人間関係もものすごくいい状態なんだ。だから、とっても楽だよ。いいんじゃない?

-----アルバムが早くできないですかね。期待しちゃいますよ。

だから、もうすぐだってば(笑)! 

-----『ホワット・イフ…』には「アメリカン・ビューティ」というお蔵出しのお宝楽曲も含まれていましたが、今度の新作でも未発表音源をブラッシュ・アップさせたものがあったりするのですか?

あまり古いものはないよ。『ホワット・イフ…』のときのアイデアで使われなかったものをエリックがまた手を加えて、というのがあるかな。何しろあのときにも使いきれないほどたくさんのアイデアがあったからね。

-----新作のアートワークはどうなっていますか?

豚かい? それとも犬のことかい(笑)? 今回はどちらもいないよ(笑)。まだ、わからないな。でもこれまで同様MR.BIGらしい興味深いものになると思うよ。

-----ありがとうございました。秋を楽しみにしていますね!

アリガトウ!!

ポール・ギルバート ストアイベントフォト。

参考作品

What If…

『What If…』

IEZP-26
CD+DVD
3Dスリップ・ケース付き限定盤

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次回をお楽しみに!

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