全巻無料で「真綿の檻」が読めるサイト・アプリは？漫画バンク・raw・amazon・kindle・楽天が気になる方も！

榛花は控えめで古風な主婦でした。そんな彼女の夫はモラハラにも思える亭主関白な一広で、彼女の両親や弟の聖司から見たら榛花は”支配され、虐げられている”かのように見えていました。物語の冒頭では、その夫婦の家こそが”真綿の檻”なのかと思わせる描写が続きますが、ふとしたことからそれが全く異なる様相へと変化していきます。榛花の実家は田舎で、長男教ともいえる環境で幼いころから不当に扱われ、長く虐げられてきたのでした。母の泰枝は古い因習の中で夫に仕え、子供のために離婚したいのを我慢して苦労してきたのだという自負のもと、娘の榛花も同じように苦しめばいいという思いが根底にあり、榛花の意志など関係なく、彼女を搾取しようとします。実は実家こそが榛花にとっては真綿どころか”猛毒”の檻だったのです。そして一広こそが、榛花にとっては最大の理解者であり、彼女をそこから救い出して守ってくれた最高のパートナーだったのでした。物語が進むにつれてキャラクターの内面が表情に浮かび上がり、ことに実家の両親や弟の聖司夫婦の思惑がじわじわと暴露されるさまは秀逸で、作者の尾崎衣良さんの画力の高さが光ります。そして、ただ批判的に榛花と実家の家族の姿を描くだけでは終わらず、断ち切れないそのつながりの中でどう生きていくかを示唆するような、ほんの少しの希望のようなものが残されていました。子育てが終わった時期に、その全てが自分に降りかかってくる、というのは、ある意味ホラーであるような気もしますが、自分をちょっと振り返ることができて、さらりと読める良作です。
（50代・女性）

広告を見て続きが気になり、話数もそれほど多くなく購入して一気見しました。最近ジェンダーハラスメントや男尊女卑についての話題が多いですが、娘がやって当たり前、女だから当たり前、みたいな雰囲気の中主人公の夫の行動にスカッとしました。お母さんとの後日談みたいな話があったので、欲を言えば他の家族の話も読んでみたかったです。でも、全体的に、少し現実にもありそうな、どんどん読み進められる面白いストーリーでした。主人公は女性ですが周りの方のそれぞれの視点で描かれており、主人公の周りの人々の捉え方がみんな違っていて、当たり前だけど見え方って人によってこんなに違うのかと、ハッとさせられるところもありました。漫画だと、ひどいなぁとかどうしてそんな風に言えるのだろうか、と自分ごとに捉えず読んでおりましたが、現実世界でも自分では気づかないうちに、自分の中の当たり前の基準でその人のことを勝手に決めつけてしまっていることがあったのかも知れないと考えさせられました。少女漫画らしいきゅんとするやりとりもあり、話数も短めなのでサクッとすっきりしたい方におすすめな漫画でした。もう少し痛い目にあわせたい人物もいたので、続編を出していただけることに期待です。
（30代・女性）

ネットでも広告が出てたりして、結構気になって読みました。尾崎衣良先生の絵は安定感があって見やすいので個人的に結構好きです。作品の内容は、ざっくりで表現すると逆転制裁ものとかスカッと系な感じがします。主人公をとりまく家庭環境にちょっと、いや、かなり問題があるのですが、それを卑屈になってクヨクヨしたり誰かに依存しきって手助けしてもらう感じではなく、自分の力で乗り越えていた、というのが気持ちがいいです。いろいろな登場人物の視点から描かれていくので、徐々に明らかになっていく伏線に、「あれってそういうことだったの？」と思いながら謎解き感覚で読めます。二週目はこの表現はこうだったか〜らとおもいながら読むのもら楽しいとおもいます。尾崎衣良先生は「深夜のダメ恋図鑑」で、数々のクセもの男子を描いているのですが、この作品の主人公の弟もなかなかクセものなので、流石かなと思います。最後までちょっと…好きになれませんでした。よく結婚できたなあとつい思ってしまいました。この作品のキーワードは、やはり母親との関係なので、その部分の描写はとても丁寧です。それを読むと、やはり主人公に同情できます。毒親ものとかをご覧になる方は、結構すきな作品かもしれません。
（30代・女性）

不遇な子ども、少女時代を送ってきた主人公がとにかく不憫でしょうがないです。自分が良かれと思ってしていたことが、家族特に母親には疎まれているという事実は本当に心が痛みました。主人公の気持ちも分かりますが、母親の気持ちもまた理解出来るだけにつらいです。もう少し2人が歩み寄って話すことが出来れば良かったのにと思ってしまいます。主人公はただただ母親を助けたかっただけだし、あまりにも気が利かなくて人間性にも問題がある弟には呆れ返ってしまいます。またその弟を溺愛してしまう両親もよく分かりません。大人になって自由になった主人公が家族に言い放つ言葉は本当に重みがあるし、恨みが込められていてスカッとします。ですがその反対に両親に絶望感を味わわせてしまう主人公には残酷さと愛情の薄さを感じてしまい、夫に対しても愛情はあるのだろうかと心配してしまうほどです。主人公の夫は本当に愛情のある人で主人公のために悪者にでも何でもなるという本当に慈悲深い人だと思います。実家きら彼女を守るために彼女に寄り添う姿は本当に羨ましい限りです。彼女の事情を知っても臆することなく彼女に踏み込んで彼女の居場所を作ってくれる夫には本当に頭が下がります。
（30代・女性）

この作品は最初から絶望間が凄くて思わず心が折れてしまいそうになりますが、読んでいくうちにだんだん面白さが増してきました。主人公は自分だけが理不尽に追い詰められる家庭で育ったのに、やさぐれることなく真っ当に生きているのが凄いと思いました。もし自分が主人公と同じ立場だったら、世の中の幸せを憎んで生きていたと思います。読んでいるだけでもキツいところがあるのになぜこの作品が面白いのかというと、主人公以外の視点からも物語が進行して、そのたびに新しい事実が明らかになったりするからです。事実だと思っていたことが他の視点から見ると本当は違ったりと、どんでん返しのような展開も多くて楽しめます。そしてもう一つの魅力は、生々しい人間ドラマが堪能できるということです。漫画だからといってご都合主義な展開が起きることはなく、主人公も一つ困難を乗り越えたと思ったらまた新しい困難にぶつかってしまうことも多いです。このように人生の大変さを真っ正面から描いているところに自分は魅力を感じました。またこの作品を読むと、家族とはどういうものなのかを考えさせられます。一つのエピソードを読むごとに余韻が残りますが、それも含めてこの作品の面白さに繋がっていると思いました。
（20代・男性）